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月刊日本6月号、巻頭論文

暴走する福島原発

''「国難を打開するプログラムを示せ」
-窮余策としての日本海溝「投棄」―
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 福島第一原発で深刻な事態が続いている。原子炉の内部がいま、どのような状態なのか、だれも正確にはつかめていない。国民の間には「収束」へのイメージが広がっているかに見えるが、不測の事態が避けられる保証はどこにもない。「いま、そこにある危機」にどう立ち向かっていけばいいのか。日本を滅亡させかねない国難を前に一人のジャーナリストとして打開への道筋を考えたい。

○本丸に迫れ

 「(燃料棒の損傷が)30%だの50%だの言っているが、炉心はほとんど溶けていると思う」
 日本原子力技術協会最高顧問の石川迪夫氏が4月30日未明、テレビ朝日「朝まで生テレビ」でそう公言した。原発を推進してきた学者、技術者の重鎮だ。司会の田原総一朗氏が「石川先生は原発推進派ということなので、福島原発はうまく行っている、というお話をされるのかと思ったんですが・・」と驚き、口をはさんだが、出演者のだれもが虚を突かれた表情だった。
 福島第一原発が暴走して2カ月余。東京電力の対応は後手後手に回り、水素爆発で建屋が次々と壊れた。原子炉周辺は放射線濃度が高く、復旧作業にあたろうにもだれも近付くことができない。チェルノブイリ事故と匹敵する過去最悪の「レベル7」となったが、政府は放射性物質の放射量でみると、チェルノブイリの「約10分の1」と強調する。だが、4基の原発が事故にかかわり、放射性物質の量はチェルノブイリの十数倍ある。1~3号機の原子炉や、1~4号機の使用済み核燃料プールのうち一つでも原子炉内で水素爆発、使用済み核燃料プールでの水蒸気爆発などが起きれば、チェルノブイリを超える大惨事になる。そのとき、少なくとも300㎞圏内(東京は福島原発から約240㎞)は、爆発から12時間以内に全員が避難しなければならない。5月の過去の気候観測から考えれば、12時間以内に放射性物質が到達するからだ。そして東日本の広い地域にわたって交通が遮断され、野生化した動物だけが横行するゴーストタウンが生じる。
 この危機的状況にどう対応していけばいいのか。東京電力が公表した工程表によると、今後6~9カ月後をめどに1~3号機の原子炉を冷温停止状態にする。中長期的には核燃料を原子炉から取り出し、建屋全体をコンクリートで覆って放射性物質の環境への放出、拡散を防止することを目指し、いまはひたすら注水による冷却を続けている。
 「一日待てばそれだけまた汚染水が高濃度になる。いまはもう戦争なんです。原子炉に橋頭堡を築く必要がある。水棺だの、窒素(注入)だの、汚染水の移送だの、横っちょの問題をやっている場合じゃない。窒素、あれは危ない」
 政府、東電、保安院の対応に、石川氏は「いったい何をやっているんだ」といわんばかりの表情で語気を強めた。炉心の状態については
 「溶融した炉心の中の温度は2000度以上になっている。水が当たる表面に鋳物のようなかさができている。崩壊熱は2000~3000キロワット。かさの表面の割れ目から放射性物質が出ている」という。
 いま、進められているのが格納容器を水で満たし、外側から圧力容器を冷やす「水棺」案。チェルノブイリ事故で、コンクリートで固めた原子炉施設を「石棺」と呼んだことにちなんだ方策だ。さらに2号機では、格納容器下部の圧力抑制室が破損し、その漏水を防ぐための補修をしなければならない。原子炉内は水素、酸素、窒素、水と核燃料で構成され、圧力容器や格納容器に亀裂が生じ、奇妙な気圧のバランスで安定が保たれている。
 「(原子炉内の)水はウラニウム、プルトニウム、セシウム、コバルトなどが溶け出し、非常に高濃度になっている。崩壊熱が2千キロワットだとして、コバルト60という物質だけで1000万キューリーの放射能がある。もし炉心から10%のコバルト60が水に溶け出したら、100万キューリーとなる。1000キューリーで人は完全に死にます」
 聞けば聞くほど、恐ろしい事態が生じているが、この深刻な非常事態に適切な対応がとられていないと石川氏はいう。
 「例えば、がれきを取り除くのに、がれきを集めてドラム缶に入れたりしている。まるで通常時のように。これは戦争。非常時なのである。どこかに穴を掘って瓦礫を埋めて土をかぶせる、あとできれいにすればいい。とにかく非常時のやり方でサイト(敷地)を整備し、原子炉の床まで橋頭堡を築くことだ。タービン建屋からの対策などはポンチ絵。まずは正体を見てみろ。原子炉が本当に溶融しているのか。本丸に迫らないといけない」
 同席していた脱原発派の環境エネルギー政策研究所、飯田哲也氏も大きく肯いた。
 「(私も)同感です。今は東電に任せる体制だが、民間では自衛隊なども使いにくい。日露戦争でいえば、大本営(政治家)が現場(民間商船)に強いことを言っている状態と同じ。いまは、東郷平八郎が必要です」

○核物質という兵器

 事態が極めて深刻という認識では、原発推進派も脱原発派も共通のようだ。しかし、国が全権委任する指揮官はいったいだれなのか。政府、東電、保安院の指揮系統がはっきり見えない。そのうえ原子炉内の状態を把握できず、高熱をだしている病人に対してただただ氷枕で冷やし続けているような状態なのだ。いつ何が起きても不思議ではない中で「最悪のシナリオ」を語れば、不安を煽りかねない。だが、いまは最悪の局面から冷静に解決の道筋を探ることが求められている。事故の責任をめぐる論評は後からでもできる。どうすれば核爆発=核暴走・放射性物質の環境への拡散・現場作業員の被曝などのリスクを最小に抑えられるのか。いまはこのことに全力で知恵を絞るときだ。
 それにはまず、いわゆる核物質を兵器として扱う軍事的な視点が欠かせない。戦後、軍事学はあまり関心をもたれず、本気で学ぼうとする人はほとんどいなかった。もう戦争について考えるのはこりごり、という思いが国民の間に強かった。日本は平和国家の旗印を掲げながら、強大なアメリカの軍事戦略を頼りにし、幸いにもこれまで国家の生存をかけるような難局を迎えることもなかった。
 戦争を肯定するつもりはないが、世界で紛争解決の方法として今もなお減る気配はない。軍事学は、ビジネスにおける戦略、作戦、決断、チーム管理、リーダーシップなど比喩的に学べることも多いが、対核戦時下においては決定的に重要なものだ。日本がいま、国民が生き延びていくための厳しい「戦争」状態に置かれているとすると、立ち向かう敵は「核」ということになる。いうまでもないことだが、原子力は「地球上には自然にない(宇宙レベルでの)反応」を利用したもので、だからこそ例えば半減期が2万4000年という天文学的な数字がでてくる。原子力は「地獄を飼い慣らす技術」で、それを飼い慣らせなくなったら、地獄がでてくる。いわば、「地獄の魔王」との戦いに直面している。
 あのチェルノブイリの事故は、原子炉が爆発炎上し、悲惨な事態を引き起こしたが、爆発後の「後始末の戦争」だった。しかし、福島原発問題は現在進行中の「いま、そこにある危機」で、敵(核)の状態がよくわからないまま、息の長い戦いを迫られている。つまりは相手との軍事バランスが評価できないという初期的な危機を脱していないというべきだろう。

○破局の想像力を

 6カ月から9カ月までの間、水による冷却をつづけ、「冷温停止状態」にしたあと、核燃料をとりだすという東電の工程表は「あくまでも希望的な目標でしかない」と多くの専門家が指摘している。その間、膨大な量の水を炉内に注ぎ続け、汚染水の処理に果てしなく追われ、それはまるで「腐りかけた肉体に絆創膏を貼っている」状態が続く。その間、再臨界、炉心溶融、水素爆発、水蒸気爆発がいつどんな状態で起きるか、わからない。戦時下では、作戦を展開する際、あらゆる不測の事態を考慮に入れる。爆発などが起きる恐れが十分にあるものの、あえておこらないとみる希望的観測は、先の大戦で見通しのたたない戦場にひらすら兵士を増援していった日本陸軍の拙劣な対応を思い起こさせる。戦争とはどこまでも自らの生存を求めて、十分な火力と兵站の用意のもとで「敵なるもの」に立ち向かうことである。
 放射能汚染の被害を最小にするために核燃料をいつ、どこで処理していくのか。いいかえれば、敵(核)が活発に活動しているいま、その評価、判定、対処などを決定するという「軍事的」な決定がまさに敵(核)から迫られている。そして軍事的判断の根拠となるのは、敵によってもたらされる破局への想像力である。さらに敵は「核」のほか、「時間」も加わりつつある。
 いまは爆発という危機的状況は避けられている。しかし、原子炉そのものが放射能汚染水の排出装置、放射性廃棄物の生産装置になり、爆発による「瞬間的なリスク」を「長期間にわたって汚染物を生みだすリスク」に置き換えようとしている。そして最終的に核燃料の処理、投棄をどこで行うのか。大気中なのか、大気圏外か。地中なのか、それとも海中なのか。
 大気中は直接、多くの人間に触れ、影響が大きすぎる。また、大陸間弾道弾やロケットに積み込み、大気圏外に放出することは可能かもしれないが、失敗すれば、空から放射性物質をふりまくことになる。地下に埋めるのも、地下水汚染の問題が残される。汚染水の処理については、敷地内の地下を深く掘り、巨大なプールを建設する案も出た。長期間の注水で冷温停止状態になった核燃料を運びだすことができれば、青森県六ヶ所村の核処理施設に持ち込むことも可能だ。しかし、巨大プールを完成させるまでの時間的な余裕があるのだろうか。またプールの底に地震によって亀裂が生じないだろうか。残るは深海への投棄だ。

○日本海溝投棄という窮余策

 「核を封じ込めるには、水と鉛しかないんです」。世界の軍事情勢に詳しい長年の友人に聞くと、そう強調する。
 「いまや原子炉内部の状態を示す数々のパラメーター(数値)を公開せよ、といっている段階ではない。できるだけ早く核燃料を取り出して日本海溝に投棄し、水圧と海水によって放射性物質を封じ込めるよりほかない」
 具体的にいえば、こうなる。1~4号機にある核燃料棒(使用済みを含む)は約4600本。各炉と海の間に線路を突貫工事で敷設し、台車に大型クレーンを搭載して、その先には放射線防御性能のカメラを取り付け、モニタリングをしながら遠隔操作して炉内から取り出す。その後、海に係留したタンカーなどの船に設置した鉛の棺の容器にクレーンアームで直接分散して格納し、それを密閉する。そして船で日本海溝まで運び、船を爆破して沈める。2000メートルの深さに達すれば、大きな水圧により放射性物質は上がれない。海底に沈んだ鉛棺には、沈没一時間後に穴があく装置を設置することで海水を通して燃料棒を冷やし続ける。日本海溝は約6000メートルと十二分に深く、汚染の問題は抑えられる。
 だが、実際に核燃料を取り出すときには、「動的」状態にある核燃料の熱量(崩壊熱を含む)への対応という困難さがつけ加わる。比較的に安定した「静的」状態にある核燃料を移送するのはそう難しくはない(5,6号機の使用済み核燃料は早期に六ヶ所村の核処理施設に運ぶべきだ)。建屋が壊れている現状で、どこまで重機などを活用できるのかは不明だが、大がかりなプロジェクトを組み、あらゆる英知を結集すれば、不可能ではないという。大型クレーンの活用についてはジャーナリストの歳川隆雄氏も、
 「汚染された何百トンものガレキを遠隔操作で撤去できる自走タイプの巨大クレーンは、我が国にはない。米国の電力大手、NRG(エナジー)と東芝の合弁会社がテキサス州のサウス・テキサス・プロジェクト(STP)の原発3、4号機建設計画のため製作した巨大クレーンを借用するしか手立てはないのだ」(現代ビジネス「ニュースの深層」2011.04.30)
 と提案している。
 さらには大型クレーンを使って、原子炉容器そのものを密閉して運び出し、そのまま船に積み込む方法もある。米国から提供の申し出があったゾル状の特殊な冷却剤を使って原子炉内を冷却したまま約3時間程度で船に積み込み、約3、4時間かけて岸壁から日本海溝まで運びだす。ある意味では、荒唐無稽で、「そんなことができるのか」と笑われてしまいそうなアイデアだが、「想定外」の事態には大胆な解決策を模索せざるをえない。
 日本海溝に燃料棒を格納した鉛の棺を沈めれば、おそらく日本は世界各国からいっせいに厳しい批判を受ける。だが、原子炉内の爆発により大気中に正確な計量が不可能なほどの大量の放射性物質が放出されれば、被害は日本だけでは済まなくなり、地球環境に及ぼす被害は甚大だ。深海に沈めることにより、多くの難題が解決され、それによって日本も世界も救われる。この「深海投棄」策こそ破局的事態を解決するための窮余の策と思える。これ以外の打開策があれば、教えてほしい。

○決死隊という究極の選択

 戦場においては最小のリスクで、最大の勝利を獲得するための戦術を探らなくてはならない。その困難な作業を行うには、かなりの犠牲と覚悟が求められ、「決死隊」の結成を余儀なくされる。そのような究極の判断はだれがどのような形で行えるのだろうか。
 そうでなくとも、難局打開の見通しもないまま、劣悪な労働環境の中で働いている作業員たちはいま、事実上の「決死隊」の立場に立たされている。プルトニウム被曝した作業員は、地下の最も放射線量のきついところで十分な防護体制なしに働いていたことが明らかになった。しかも2カ月近く、レトルトなどの非常食で、床で雑魚寝といった状態が続き、5月上旬から1日2食分を弁当に変え、中旬からシャワーとベッドを増設するという(5月5日、毎日新聞)。現在は4、5日働いて2日間休むという勤務形態で、作業員は敷地内に約200人が寝泊まりし、近くの活動拠点からバスで通っている人を含めると計約1000人が過酷な作業に取り組んでいる。戦うには戦うための環境や作戦が必要だが、現状では疲れ果てて力も出ず、ミスも起こしかねない。そんな光景もまた、先の大戦で日本が負けると分かっている戦いに、兵士の誰も何も言えずに上官の命令に従っている姿と重なってくる。
 廃炉には、10年以上にわたり原子炉を故障することなく保守、運転し続けなければならない。そのためには数千人の訓練された有能な作業員がいる。いつまでも、現在のような下請け、孫請けによって場当たり的に作業員を集め、数分間ずつ交代でできるような仕事ではない。そんな中で「未来のある若者に危険な仕事を任せてはいけない」と退役エンジニアたちによる「福島原発暴発阻止行動隊」(注)の動きもでてきた。呼びかけ人の山田恭暉さん(72)は住友金属工業で30年勤めた技術者で、環境・廃棄物処理、プラント建設などを手がけてきた。体力と経験のある60歳以上の元技能者、技術者のボランティアを募ったところ、賛同者や応援団も続々と集まっているという。政府は「孫や子どもたちのために役立ちたい」というこのような老人たちの思いをしっかりと受け止め、国家プロジェクトとして取り組まざるをえないだろう。山田さん自身は、60年安保のとき、社会主義学生同盟の副委員長を務めた学生闘士だった。若き日、日本の行く末を憂えた60年安保世代や全共闘世代も老年期を迎えているが、「いま、社会にどう貢献できるのか」という問いかけがその世代に深く浸透している。

''○国際理解と日本の安全保障
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 「深海への投棄」策に戻るが、それは一見無謀に思え、もし日本がそれに踏み切れば、国際的な非難を浴びるに違いない。プライドの高い日本人は「世界に迷惑をかけたくない」という意識が先に立つかもしれない。最後まで「お人よし」の態度を演じ、何も決断しないまま、原発が次々と爆発するような事態になれば、日本民族は滅びていく。その前に民族の生存をかけた決断ができるのか。「国益」と「国際益」がぶつかったときには、世界に向けて毅然とした態度で厳しい選択をしなければならない。
 「あなたの国が日本と同じ立場に置かれたら、どちらを選びますか」
 世界からの批判に対して政府は、国益の立場にたって説得力のある反論を展開できるだろうか。過去に、ロシアも米国も、大量の処理されていない放射性廃棄物(原子力潜水艦の機関部分など)を海に投棄し、その一部は日本海にも投棄された。米国、フランスは南太平洋上で何度も水爆実験を行い、海洋を汚染している。膨大な放射性物質が大気中に放出されると、どんなことが地球上に起こるかを考えてみれば、これはもはや一国の問題ではなく、世界的な難題である。国際政治が「軍事力」という剥き出しのパワーによって動いていく中で、「深海投棄」策こそが最もシンプルで合理的で、人類と環境への影響は比較的少ない、と政府は説得できるだろうか。
 福島原発問題は「自分の国は自ら守らなくてはならない」という単純な事実を浮き彫りにした。「日本の安全は米軍が守っている」というのは幻想で、米国もまた自己の国益を最優先に考え、日本の危機に必ずしも前線に出るとは限らない。米軍はデータ収集のために福島原発の上空を飛び、放射線事故専門部隊を派遣したが、いまどこにいっているのだろう。福島原発の危機を解消する現場の作業に一人の米軍兵も参加していない。何百人もの米国の専門家たちも80キロ圏外に退避してそこから放射線の影響、気象と汚染の広がりなどをモニタリングしている。米国を非難しているのではない。それらは当然の行動である。「トモダチ作戦は聞こえがいいが、原子炉の核分裂の様子からその後の被曝の進行まで世界で初めてモニタリングできる絶好のチャンス。それをわくわくしながら見つめている」と多くの軍事関係者が語る。それらは「核」を兵器として抱えている国際政治の厳しい現実でもある。福島原発への対応をめぐる周辺諸国の動きを見ることで、日本の安全保障の今後を考えていくうえで実に多くのヒントを与えてくれる。

○最大の難局は弱体化した政治か

 いまは、このような「最悪のシナリオ」にならないことを祈るばかりだ。東日本の地域が破滅し、民族が滅亡しかねない原発爆発は断じて避けなければならない。といって、各国の同意、協力を得られないまま「深海投棄」を強行するのも避けたい。「世界からの非難を受けたくない」と暴走する原発を前に、何も考えることができない状態を続けていけば、後世の歴史家から最終的に日本人は「玉砕」的な行動を選んだといわれるだろう。それが日本人の美学といってしまえば、おしまいだが、はたしてそれでいいのだろうか。手遅れにならないうちに決断、実行をしなければ、子供たちも、家族も、そして私たちの平和な生活も、日本の文化も経済も、何もかもが失われてゆく。そうなってからでは、もう遅い。
 まずはそんな究極の選択を迫られる前に、この難局を世界共通の課題として受け止めてもらうことだろう。日本を救うことが世界を救うことになる、と世界の英知を結集し、共同で打開策の模索を重ねなくてはならない。しかし、各国が一致して打開策を提示する可能性はあまり期待できず、最終的には日本独自の国益にもとづいた厳しい判断をせざるをえなくなる。
 リスクを最小に抑え、日本が生き延びる打開策とはなにか。あらゆる情報を収集できる政治家たちはいまこそ、国難を救う行動計画(アクションプログラム)を示してほしい。最終的な決断はいうまでもなく、この国のトップリーダーにかせられている。そのリーダーを支える政治システムを十分に機能させることがいま切実に求められている。その意味では、当面の最大の危機は、現在の弱体化した日本の政治そのものであり、私たちの危機を危機と思わない意識構造かもしれない。政治家、さらには私たちの「覚悟」がいま問われていると自覚しなければならない。
注:http://park10.wakwak.com/~bouhatsusoshi/
(いけだ・ともたか ジャーナリスト

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